本日のお題 【戸建住宅の耐震改修の重要性と補助制度】 |
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エコ次郎先生、こんにちは。今年もよろしくお願いします!
先生、今年はお正月から震災なんていう悲しい災害が起こっちゃいましたね。。まさか元旦にあんな悲惨なニュースを見ることになるなんて、あの日の事を思い出すだけでも心が張り裂けそうです。
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エコ娘くん、こちらこそ今年もよろしくお願いいたします。
そうですね、私もあの現実には本当に気持ちのやり場が見付からなくて、ただただ1人でも多くの命が助かって欲しい、悲しい思いをする人が1人でも少なくあって欲しいと願うばかりでした。災害は自分たち人間の無力さを痛感させられると言いますか、自然の力には太刀打ち出来ないのだろうか...、と虚無感にも襲われますし、本当にやるせないですね。
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虚無感か。家が全壊している地域がTVに映ると感じちゃいますよね。地震が来たら逃げる事しかできないけど、あんな簡単に家が倒れたり崩れたりしたら逃げる事さえ難しいし、もう運に任せるしか方法は無いんでしょうかね...。
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そんな事は無いですよ。地震が来る事は止められませんが、地震が来た時の為に事前にできる事があります。それが『耐震』です。
日本の面積は地球の表面の1%しかありませんが、世界中で起きるM6.0以上の地震の約20%が日本で起きています。つまり、大きな地震が起きないという場所が日本中どこにも無いと言っても過言ではありません。実際に、近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震の予測に「能登半島地震」は含まれていませんでしたし、平成28年4月に発生した熊本地震もそうでした。
日本はこのように地震の恐怖に常に晒されていますが、平成7年に起きた阪神・淡路大震災で「建物等の倒壊が原因での圧死・損壊死等が死因全体の83.3%を占めた」と言う痛ましい教訓があったからこそ、全国で耐震の意識が高まり、東日本大震災では圧死・損壊死等はわずか4.2%でした。残念ながら津波の被害で全壊・半壊した住宅は多かったですが、それでも津波に押し流される前の映像を見ると、外見的には大破していないものが多いように見受けられました。この結果を見ると、やはり耐震基準を満たすべく耐震改修の重要性を強く感じます。
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東日本の時は私も揺れを体験したし、特にその日は津波に家が押し流される映像をずっとずっと見ていた記憶があります。でも言われてみると、津波が押し寄せる前の街は意外と普通で、みんながとにかく高台に逃げるのに必死だったイメージが強いかも。あれは耐震が進んだ結果だったんですね。
でも先生、TVで見る限りの印象ですけど、今回の能登半島地震は揺れで全壊している家が多いように感じるんです。耐震は全国で進んでいるのに何でなんだろう?
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まだ被害の全容が明らかになっていないので、どれだけの家が全壊・半壊したのか詳細は分かりませんが、地域全体で耐震が追い付いていなかった事があるかと思います。
2018年度末までに国の耐震基準を満たした住宅は全国で87%でした。しかし、今回の能登半島地震で木造住宅の倒壊が相次いだ珠洲市を例に見てみると、2018年度末までに国の耐震基準を満たした住宅はわずか51%。全国平均を大きく下回っていました。去年5月にも震度6強の地震が発生し、珠洲市も被害を受けていまして、この地震の後に倒壊の危険性を調査する県職員ら応急危険度判定士が「危険」と判定した住居は、珠洲市を中心に361棟、「要注意」は689棟に上ったそうです。しかし、珠洲市の高齢化率は石川県内で最も高い51.7%(2020年)。家主が高齢者施設に入所したり、亡くなったりで空き家になっていた家は市全体で約2割で、手入れが行き届かずに老朽化しているケースも少なくなかったですし、住んではいても建て直す気力や資金力が無かったというケースも多くありました。
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耐震化の地域差ってそんなにあるものなんですか?!正直そこまで大きな差があるなんてビックリ!
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珠洲市のお隣りの輪島市に至っては耐震化率45%と更に低く、半数にも満たないです。耐震化率の上位は東京、神奈川、大阪など住宅需要が高く建替えが進んでいる都市部で、逆に地方や過疎地では建替えよりも既存の住宅の耐震改修が軸になりますが、「今更改修したところで後に住み続ける家族もいない」とか「あと何年ここで暮らせるかも分からない」と言った考えが強く、わざわざ高いお金を払ってまで改修しようとする人が少ないのが現状です。
こういう姿勢を無責任に感じる方もいらっしゃるだろうと思いますが、耐震改修はやろうと思ってすぐにできる事ではなく、相談→耐震診断→耐震設計→耐震改修工事と段階を踏んで行かないといけなくて、考えただけでもハードルは高い。。何となく先延ばしにしてしまう気持ちは正直分からなくもないのですよね。特に「どこに相談したら良いか分からない」という、スタートで躓いて居る方も多いと思います。
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分かる~!すごく分かる~~!私も部屋にあるもう絶対に使わないものを、ずっと「まいっか」と思って何年もそのままにしちゃってます~!燃えるゴミで出せない物って何曜日にどうやって捨てたら良いのか分からないからママに手伝ってもらわないといけなくて、なんか面倒臭いんですよねー。
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それは私にも身に覚えがたくさんあります(笑)
とても気持ちは分かるので・す・が、でも耐震改修は全く別物です。耐震改修は何故行うべきか?と言うと、もし地震が来て自分の家が倒壊した時に、お隣りの家や通行人を巻き込んでしまう可能性が高いからです。倒壊して道路を塞いでしまった場合は救急車などの緊急車両の通行の妨げになって、助かるはずだった人が手遅れになってしまう事も考えられます。もちろんそこに暮らす自分たち家族も下敷きになる確率が高く、救出して貰わないと助からない場合も多いにあります。耐震改修は自分たちだけではなく、周りの人たちの命の為でもあるのです。
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ごもっとも。「周りの人たちの命の為でもある」これをしっかり考えないといけないですね。
先生、もし耐震改修工事を検討するとして、やっぱりお金の問題って大きいじゃないですか。ZEHとかみたいに補助制度って無いんですか?貰える条件もあるなら教えて欲しいです!
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さすがエコ娘くん、大変良い質問ですね!
平成30年度から、住宅の耐震化に向けた積極的な取り組みを行う自治体について、補強設計等及び耐震改修を総合的に支援する新しい補助制度『パッケージ支援(総合支援メニュー)』が創設されました。マンションを除く住宅が対象で、補強設計等費及び耐震改修工事費(密集市街地等で防火改修も行う場合は防火改修工事費を含む)を合算した額に最大100万円の補助が貰えるという内容ですが、全ての住宅が対象となる訳ではなくいくつかの条件がありますので、そこを見て行きたいと思います。
[条件1] 昭和56年5月31日までに建築確認を受けた木造住宅
多くの自治体でこれが条件となりますが、昭和56年5月31日以前の建物は「旧耐震基準」で建てられていて「新耐震基準」に満たない住宅のため、地震で倒壊する可能性が高いからです。
[条件2] 木造軸組み工法で2階建以下のもの
基本的には木造軸組み工法で2階建以下の建物が補助金対象となります。自治体によって、伝統工法やツーバイフォー住宅が対象であることもありますので注意が必要です。また、3階建て以上の住宅は、耐震工事や構造計算が特殊になるため、補助金の対象外となるケースがほとんどです。
[条件3] 所有者が自ら居住している戸建住宅
上記である場合は何も問題ありません。貸家のように、所有者と居住者が別の方(配偶者や親族なども含む)の場合は、申請は所有者が行うことが条件となります。また、店舗等併用住宅は制限がある場合が多いので確認が必要です。
上記3つが概ね全国共通の条件となっていますが、自治体によっては「住宅に関する納税が適切に行われていること」「申請者(所有者)に市税などの滞納がない」など税金に関する条件があったり、所得制限を設けていたりするので、まずはお住いの自治体のホームページで詳細をご確認下さい。
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工法については全然分からないから、基本は旧耐震基準のごく一般的な2階建木造住宅が対象って覚えておこーっと。こういう住宅って下町の路地を入ったらいっぱいあるイメージだけど、そう言えば近年オシャレ狭小住宅にいつの間にかリノベーションされている事も多いのは、こういう補助制度が功を奏しているからなんですね。勉強になりました!
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耐震改修工事と一緒にリフォームをする事も可能で、一緒なら費用も手間も少なく済むので、お年寄りでも安心して暮らせるバリアフリーにする方も多いようですよ。
あ、そうでした。対象条件はお伝えしましたが、耐震改修工事ではどんな所を直すのかはまだでしたので、工事の例を次の項目でお伝えしようと思います。
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それ知りたい!よろしくお願いしまーす!
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