本日のお題 【全固体電池】 |
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エコ次郎先生、こんにちは。
去年の夏頃の話しなんですけど、EVの未来がお題の時に「全固体電池」っていうのについて教えて頂いたことがあったじゃないですか。自動車メーカー各社が開発に力を入れているって。そんな話しすっかり忘れていたんですけど、つい最近TVで「全固体電池」の名前を聞いて、そう言えばあの時は「リチウムイオン電池の上を行くものがそう遠くない未来に出来るんだー」ってふんわり思っただけで具体的にどういうモノなのか?って気にならなかったなって思ったんです。液体を使わないって事くらいしか結局私の記憶には無くて、もっと詳しく教えて頂けば良かったなって、今更なんですけどね(笑)
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エコ娘くん、さすがです!TVでその名前を聞いて思い出して下さった事にワタクシは感動しています。難しいテーマだったのに良く覚えていて下さいましたね。
せっかくお話し頂いたので、今回は「全固体電池」とはどのような物なのか?リチウムイオン電池とはどこがどう違うのか?どういった事での使用が期待されているのか?についてご説明を差し上げたいと思います。
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良かった、エコ次郎先生が優しくて(笑)
今日もよろしくお願いします♪
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先ずは「リチウムイオン電池」がどういう仕組みかをご説明しますね。
リチウムイオン電池は私たちの生活の中でとても身近なものになっていますが、エコ娘くんはリチウムイオン電池が何に使われているかはご存知ですよね?
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もちろんです!これこれ、携帯電話!モバイルバッテリーもそうかな?
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正解です。リチウムイオン電池は従来の使い捨て乾電池とは違って、充電して何度も使えるとても便利なものですね。
ではリチウムイオン電池はどうして繰り返し使えるのか?なのですが、まず“電池”とは「電子が負極から正極に移動すると電流が発生する」というものです。この電子の移動が一方通行なのが使い捨て乾電池です。しかしリチウムイオン電池は使った状態で充電すると、充電器の電圧で正極に集まっていたリチウムから「電子」が離れ、「電子」とリチウムイオンに分かれます。そして「電子」が負極に移動すると、「電子」に引き付けられてリチウムイオンも負極に移動し、充電された状態になるのです。充電済みで電源を入れると、今度は「電子」が負極から正極に流れて行き、リチウムイオンもまた正極に戻って行くので電流が流れる、と言う訳です。
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つまり「電子の移動」なんですね。難しいけど、1回しか移動できないのが使い捨て乾電池、何度も行ったり来たりできるのがリチウムイオン電池ですね!
エコ次郎先生、その電子が移動する負極と正極の間ってどうなっているんですか?
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良いところに気付きましたね。負極と正極の間は電解質になるのですが、リチウムイオン電池の場合は電解質が「有機電解液」つまり液体なのです。イメージとしては負極と正極というバンズに「有機電解液」というパテが挟まれている感じです。
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なるほど、ハンバーガーを想像すれば良いのか!分かりやすい。
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ハンバーガーなのですが、パテが「有機電解液」という液体で出来ているものがリチウムイオン電池、固体電解質というハンバーグのように固まっているものが「全固体電池」と考えて下さい。
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あっ!なるほど!「全固体電池」の“固体”ってそういう事なのかー!何かすごくスッキリ(笑)
でも先生、ふと思ったんですけど、液体の中を電子が移動するのは分かるんですけど、固体の中でも移動って出来るんですか?
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不思議に思いますよね。実は固体電解質の研究はリチウムイオン電池が実用化される前から始まっていたそうで、長年の苦労の甲斐があって液体よりも電子が安定的に動ける電解質が開発されたのです。とは言ってもリチウムイオン電池だって優秀なんだから電解質が液体じゃダメなの?と思うかも知れませんが、固体になるメリットはとても大きいんですよ。
まず【1】液漏れの心配が無いので安全性が高まります。リチウムイオン電池に外部から強い衝撃が掛かると有機電解液が漏れる恐れがあり、そこから発火する可能性があります。また、有機電解液は肌に触れると化学やけどを引き起こす危険性があるんですよ。液漏れの心配がないと『【2】構造の制限も無い=設計の自由度も格段に上がる』ので、小型化や薄型化もOK。重ねたり折り曲げたりなんて言う事も出来ちゃうんです!
続いて【3】温度変化への耐性です。リチウムイオン電池は低温では有機電解液の粘度が高まってしまって電圧が低下し、逆に60度以上の高温では劣化してしまいますが、全固体電池は温度環境でパフォーマンスが左右されません。真冬にスマホの充電が見る見る間に減ってしまった、という経験はありませんか?あのような極端に不安定になる事が全固体電池ではありませんので、あらゆる環境下での活躍が見込めます。
【4】 急速充電、これも全固体電池が期待される大きなポイントです。電池は急速に充電するほど熱を保つので、熱に弱いリチウムイオン電池は充電に時間が掛かるのですが、先程も述べた通り全固体電池は「温度変化への耐性」があるので、安全に急速充電ができると言われています。
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すごーい!高速充電の上を行く急速充電!!私、夜寝る時についうっかりスマホを充電器に繋ぐ前に寝落ちしちゃって、朝起きたら充電が無い!って焦ることがあるし、そういう時に限ってモバイルバッテリーも充電が無かったりするから、もしスマホにも全固体電池が搭載されて急速充電が当たり前になってくれたら本当に助かるな~。
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その失敗は私も常連ですので、全く同じことを考えていました(笑)きっと日本国民だけではなく、世界中の人々が待ち望んでいますよね。
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大容量で急速充電ができたら尚良しですね!あ、それが期待されているのが全固体電池のEVっていう事だったのか!やっと繋がりました!
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さすがエコ娘くん、その通りです。全固体電池が期待される分野はEVが最も良く知られていますが、EVに留まらず充電して使うあらゆるモノに対して期待が高まっています。ちなみに全固体電池は製造方法によって主に2種類に分類されまして、1つが電解質に粉や粒を集めた粉体が使われていて大容量に向いている、EVに搭載予定の「バルク型全固体電池」、もう1つが真空状態で電極の上に薄い膜状の電解質を積み上げて作られる「薄膜型全固体電池」。後者は各材料層が薄い為にバルク型よりも蓄えられるエネルギー量が少なく、大きな容量は期待できませんが、リサイクル寿命が長く、長持ちするのが特徴です。製造しやすく小型であるため、センサーといった小さなIoTデバイス向きで、実はもう実用化されているんですよ。
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え、すごい!もうですか?!そんなの聞いたらバルク型の実用化にも益々期待が高まっちゃいますね!
先生、現行のリチウムイオン電池搭載のEVって充電時間が結構長くて、ガソリン車と同じくらいの距離か、それ以下くらいしか走れないっていうイメージがあるんですけど、バルク型になったらそこってかなり改善されるんですか?どれくらいを目指して開発されているんでしょうね。
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今現在のEVはフル充電するには急速充電でも1時間近く、普通充電だと10時間近くかかるケースも珍しくありません。航続距離も短いものだと250km程度、長いものでも600kmくらいなので毎日車に乗る場合は小まめな充電が必須です。夜間に充電すれば良いとは思っても緊急で車が必要になる事もあるかと思いますし、10分もあれば満タンに出来るガソリン車と比べるとちょっと不便に感じることはあるかも知れないですね。
しかしです。丁度その点について今年6月にトヨタから発表があったのですが、トヨタの掲げる数値は耳を疑うような目標でした。発表したからには実用化の目処が付いて来たのだろうと思いますが、全固体電池の最前線情報は他からも多数発表されていて、開発が過熱しています。
あっと驚くような内容ですので、トヨタの情報も含め、次の項目で“全固体電池の最前線2023”についてお伝えしたいと思います。
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え~興味津々なんですけど~!まだ分からないけど、きっと凄い目標値なんだろうな。早く聞きたいです!
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はい、では早速ご紹介したいと思いますので、今回も私エコ次郎にお任せ下さい!
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は~い、ではよろしくお願いしまーす!
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