本日のお題 【熱中症】 |
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エコ次郎先生、こんにちは。今日も暑いですね。そう言えば先週、日中に庭の草むしりを手伝っていたら頭が痛くなっちゃって、これがいわゆる熱中症!?ってドキドキしちゃいました。結構頭が痛くなって体もだるかったんですけど、太陽がガンガン照ってる時じゃなくても熱中症ってなるんですか?
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エコ娘くん、お手伝いで体調不良になったとは大変でしたね。お話を聞く限りでは恐らく熱中症ではないかと思いますが、その日の湿度が高かったかどうかは覚えていますか?
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湿度?あー、そう言えば蒸し蒸ししていたような。でも日差しがずっと当たっていた訳じゃないですよ。
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熱中症を引き起こす原因は日差しの強さだけではないんですよ!もちろんそれも大きな要因ですが、湿度の高さや気温の高さ、風の弱さなど、いくつかの環境が鍵を握っています。もっと専門的にお話ししますと、気温、相対湿度(その気温で空気中に存在できる飽和水蒸気に対する割合)、風速、輻射熱=放射熱(物体から放射される遠赤外線によって伝わる熱のことで、例えば太陽やパネルヒーターから受ける熱などがこれに当たる)の4つが関与していて、気温が高く、相対湿度が高く、風速が弱く(皮膚温を大きく超える熱風の場合は強く)、輻射熱が強い時に暑く感じ、熱中症が起こりやすくなります。
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えっ!そうなんだ!?多少難しくて全部は理解できなかったけど、暑ければ他は無条件かと思っていました!ってことは、きっと私が熱中症になった日は湿度も気温も色々悪い条件が重なっちゃってたんですね。通りで暑かったもんな~笑
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大事には至らなかったので笑い事で済みましたが、近年熱中症で命を落とす方も多くなっているので、本当はとても怖い症状なんですよ。エコ娘くんはまだお若いので回復も早かったかもしれませんが、若くても生死に関わる症状に陥ることもありますので、本当に油断は出来ないので今後は気を付けて下さいね!
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あ、はーい...。先生、その4つの要因がどうなった時に熱中症の危険度がこれぐらいですよ、的な何か決まりってあるんですか?
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はい、もちろんありますよ。良くこの時期になると天気予報で熱中症注意情報が発表されたり、市区町村の防災センターからも「熱中症の危険が高まっているので、屋外での運動は原則中止」などのお知らせが来たりしますよね。あれは、先ほどの4つの指標を総合したWBGTという指標に従っていまして、WBGTはスポーツや職場における熱中症の予防のために国際的に広く使用されているんですよ。もちろん決まった算出式がありまして、単位は気温と同じ『℃』が使われます。日本体育協会では
WBGT31℃以上…運動は原則中止。皮膚温より気温の方が高くなる。特別の場合以外は運動を中止する。
WBGT28~31℃…厳重警戒(激しい運動は中止)。熱中症の危険が高いので激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合には積極的に休憩をとり水分補給を行う。体力の低い者、暑さに馴れていない者は運動を中止する。
WBGT25~28℃…警戒(積極的に休息)。熱中症の危険が増すので積極的に休憩をとり水分を補給する。激しい運動では30分おきくらいに休憩をとる。...etc
という具合に、運動量や水分補給についてなど細かく指示内容が決まっていますので、可能な限り従いましょう。
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へぇ、そんなに細かく決まってるんだ!それだけ熱中症が怖いって言うことなんですね。今年ももう何回か市から熱中症の危険が高まっているお知らせが流れて来たけど、ちゃんとした算出式で出た数値を元にお知らせが来てるって分かったから、これからはお知らせが来たら読んで終わりにしないで運動とか水分補給に気を付けようと思います。
ところで先生、そもそもなんですけど熱中症って何で暑いとなるんですか?身体にどんな影響が起こると熱中症なの?症状は分かったんですけど、症状が出るまでに身体に何が起こっているのか知りたいです!
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さすがお勉強家!熱中症についてもしっかり深掘りしますね~。
実は熱中症とは高い気温の下で起きる全身の障害を総称したもので、名称が付いている熱に関する症状がいくつかあるんですよ。その症状が起こるメカニズムをご説明しますね。
まず、身体は熱を作る働き(産熱)と外に熱を逃がす働き(放熱)を繰り返していて、元気な時はそのバランスが取れているので体温が36~37℃に保たれています。しかし、例えば運動をして身体を活発に動かすと、筋肉で熱が作られて体温が上がります。体温が上がると身体は放熱するために身体の表面に流れる血液の量を増やします。すると、全身に血液が巡るために一時的に血液が不足状態になり、血圧が下がる事があるのです。その時に脳へ十分な血液が送られずに酸欠状態に陥ってしまって、めまいや立ちくらみが起きるのですが、酷いと意識を失うこともあります。これが『熱失神』です。
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そんな事が起きるんですか!?熱失神なんていう言葉、今初めて聞きました。超怖いですね...
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そうですね。身体の熱が上がってしまった時、汗をかくことでも放熱ができます。ところが汗で水分を失ってしまった時にしっかり水分補給をしないと脱水状態になってしまい、その状態が続くと全身倦怠感や悪心、嘔吐、頭痛などの症状が現れ、この状態を『熱疲労』と言います。
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この前の私はきっと熱疲労だな。軽症で済んで良かった...
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本当にそうですね。
放熱に必要な汗ですが、どこで作られると思いますか?
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え、どこって??汗って勝手にじんわり滲み出てくるんじゃないんですか?!
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違いますよ、汗は血液から作られるんです。汗には電解質が含まれているので、放熱の際に水分と一緒に電解質も失われていきます。汗で失いやすい電解質は血液中に一番多いナトリウム(塩分)なので、汗をかいた時は水分と一緒に必ず塩分補給もするように言われていますね。塩分は筋肉の収縮を調整する役割があるため、身体の塩分が不足すると手足がつったり筋肉が痙攣したりします。これが『熱痙攣』です。
痙攣だけならまだ良いのですが、体温を調節する働きが追い付かなくなって体温が下がらなくなってしまうと、脳に影響が出て、倒れたり意識障害を起こしたりします。これが『熱射病』です。まだ熱中症という言葉が知られていない時代には熱射病が一般的でした。なので「熱中症と熱射病って一緒でしょ?」とお思いの方もいらっしゃいますが、熱中症の中で最も危険な症状が熱射病で、生命に関わるとても危険な状態なのです。
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私も熱中症は熱射病の呼び名が変わったものだと思ってました!結構そう思っている人って多いと思うから、このメルマガの読者の方々に知ってもらって、またそこから正しい知識が拡散されると良いですね。
足のつりって水分不足で筋肉が硬くなるから起きるんだと勝手にイメージしてたけど、要因は塩分だったんですね。熱中症って、水分と塩分を如何にバランス良く補給して、汗をかいて放熱して、体温調節機能を正常に保つ事が重要なんだって分かりました。運動している時じゃなくても結構汗かいちゃうから、やっぱり塩分の摂れるタブレットとか塩飴とかは日頃から意識して持ち歩きたいアイテムですね!早速これから買いに行かなくっちゃ!
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良い心掛けですね!昨今の異常気象で年々酷暑日なんていう恐ろしく暑い日も増えていますし、日本は湿気もあるので体感温度は気温より高いです。当然熱中症の危険度も高まって来ますので、
●水分を持ち歩く
●塩分補給ができる飴やタブレットを常備しておく
●外出時は冷感タオルなどで首を冷やす
●日中はツバの大きい帽子や日傘で日除けをする
●小まめに涼しいところで休憩する
などに日頃から心掛け、極力体調を崩さないでいられるように努力しましょう。それでも熱中症になってしまう事もありますので、万が一に備えて次の項目では『熱中症になってしまった時の対処法』についてお話ししたいと思います。
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それ知りたい!あとでママとパパと、あと友達にも教えてあげたいから、ゆっくり話して下さいね!メモらなくちゃ!
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是非ご家族とも共有して下さいね。
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