東雲研修センター ニュースレター No.46
いつも東雲研修センター及び公式HPをご利用頂きましてありがとうございます。

今、世界でエネルギー消費量が問題となっていています。エネルギーの消費量を減らす為の努力が各方面で求められていて、様々な企画や方法が提案・実行されています。日本でも様々な分野でこの問題には取り組まれていますが、今回は住宅に焦点を当てていきたいと思います。何故なら、エネルギー消費と言うと企業や工場などに目が向けられがちですが、実は日本国内の全エネルギー消費量の13.8%は住宅が占めているのです。そこで今注目を集めているのが『ZEH』です。2016年に大手ハウスメーカーが一斉にZEHを取り入れた住宅を発表したことでその名が知られることとなりましたが、現状まだまだ浸透していません。しかし、政府が「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」という目標を打ち出した為、近い将来にZEH住宅がスタンダードになります。
今回は『ZEH』とはどんな住宅を指すのか、メリット・デメリットについて一緒に学んで行きたいと思います。

橋本総業株式会社
東雲研修センター事務局


INDEX
【1】研修情報‥‥東雲研修センター 定期研修情報
【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座‥‥【ゼッチ(ZEH)ってな~ぁに? 】
【3】ZEHに使える補助金と優遇制度
【4】編集後記‥‥エコ次郎の小ネタ横町
 
【1】東雲研修センター 定期研修情報
◎東雲研修センターは感染予防対策徹底中!!
東雲での研修は、実習を伴うことから濃厚接触の可能性があります。
感染防止には万全の体制で臨んでおります。詳しくはHPをご覧下さい。

東雲研修センターの定期研修は、直接のお客様だけでなく、メーカー様や関係団体、橋本総業(株)と多少でも関係のある方々でしたらどなたでも受講できます。
現在東雲研修センターで募集している研修のご案内です。特徴は、座学だけでなく研修によって現調、試運転、設置、組立などの実習が含まれていて、ホームページから申し込みが出来ます。是非ご検討下さい。



【現在受講生募集中の研修一覧 (2023年8月まで) 】
4月8日(火)システムバス現調研修10:00~15:006,000円15名
5月12日(金)ガス可とう管資格研修10:00~17:0017,000円残枠少数
5月16日(火)エアコン施工研修10:00~17:0012,000円残枠少数
5月23日(火)便器・WL設置研修10:00~15:0010,000円15名
6月6日(火)配管接続研修10:00~14:006,000円10名
7月4日(火)ガス給湯器・ハイブリッド給湯器現調研修10:00~15:006,000円15名
7月11日(火)システムバス現調研修10:00~15:006,000円15名
7月13日(木)エアコン施工研修10:00~17:0012,000円10名
8月8日(火)キッチン現調・施工研修10:00~16:006,000円15名
8月22日(火)便器・WL設置研修10:00~15:0010,000円15名
8月24日(木)エアコン施工研修10:00~17:0012,000円10名

* 今年度より一部の受講料が部材価格の影響から改定させていただきます。ご了承願います。

お申し込みは こちらから

◎東雲で開講の研修は昼食をご用意しています。
◎受講料は税込です


【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座
本日のお題 【ゼッチ(ZEH)ってな~ぁに? 】
エコ娘 エコ次郎先生、こんにちは!
エコ次郎 エコ娘くん、こんにちは。今日も元気いっぱいですね!
エコ娘くんはとても勉強家なので、最近はずっと今知りたい事柄について私が質問を受けていましたが、今日は久々に私から質問をしても良いでしょうか?
エコ娘 もちろんいいですよ~、何でもどうぞっ!
エコ次郎 ありがとうございます。では早速質問です。エコ娘くんは『ゼッチ』をご存知でしょうか?
エコ娘 ん?ゼッチ~??サッチー、ミッチー、ゼッチーみたいな?誰かのあだ名ですかね?
エコ次郎 エコ娘くん、あなたは本当に高校生ですか?!サッチー&ミッチーをご存知なんて時代を感じずには居られないのですが...。NHKのオカッパ頭の永遠の5歳児くらい年齢不詳な、幅広い知識をお持ちですね。
それはともかく、ゼッチ(ZEH)はあだ名では無く、『net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』の略語でして、「エネルギー収支をゼロ以下にする家という意味なんです。
エコ娘 収支をゼロ以下って、そんなこと出来るんですか!? 使うエネルギーより作り出す方が多いっていう事でしょ!?
エコ次郎 はい、その通りです。やはり良く勉強されていますね。正確に言いますと、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家を指します。ただ夏の暑さや冬の寒さを我慢して、エアコンを使わずに過ごすなどの無理をするのではなく、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室内環境を保ちながら省エネルギーを実現する、それがZEH住宅です。
日本の現行の省エネ基準(平成28年基準)における断熱性能は世界的に見てもレベルが低く、現在は遅れを取っています。しかし、菅政権が「2050年カーボンニュートラルの実現」という政策目標を打ち出したことで舵が切られ、法改正により2025年以降は平成28年基準をクリアできない住宅は建築できなくなりました。更に2030年からはZEH基準がスタンダートになるように政府が強力に推進していますので、ZEHが当たり前になる日もそう遠くないと思われます。
エコ娘 そうなんだー!おばあちゃん家とか昔の家ってバリアも多いし寒いし、今時の家と比べると色々劣ってるなーとは思っていたけど、どんなレベルの家を建てて良いか?ってちゃんと国で決められているから、おばあちゃん家みたいな寒い家はもう新築されてなかったんですね。なるほど~ぉ!
エコ次郎先生、家のレベルが時代とともに上がっている事は分かったんですけど、これからスタンダードになる ZEH基準 ってどんな内容なんですか?
エコ次郎 はい、ご説明しましょう。まず、住宅の断熱性を表す断熱等級が決められていて、現行のH28年基準は断熱等級4になります。ZEH基準は等級5なので、数字が大きいほど性能が上がることはお分かりですね。 断熱等級の基準には外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)がありまして、地域により数値が決められているのですが、例えば東京都の場合、等級4の時のUA値は0.87、等級5では0.6と決められています。おっと、エコ娘くんの眉間にシワが寄って来ていますが、この辺りについては難しいので1回で理解しなくて大丈夫ですよ(^ ^)
エコ娘 あ、すみません。。気付いたら眉間にめっちゃ力が入っちゃってました。リラックス、リラックス...。先生、気にせずに続きをお願いします。
エコ次郎 はい、では続けますね。ここで覚えて頂きたいのはUA値の細かい数値ではなくて、ZEHを実現するために必要な断熱省エネ創エネです。
断熱性の高い建物は、夏は冷やした室内の空気が、冬は暖めた室内の空気が外に漏れにくく、冷暖房にかかるエネルギーを小さく抑える事ができます。給湯器や照明・家電などの設備機器を省エネタイプに替えることで、更にエネルギーを抑える事ができます。そして、太陽光発電や地熱発電などを用いる事で、エネルギーを作り出す事ができます。この3つを組み合わせる事で、年間の消費エネルギーが作り出すエネルギーを下回り、ZEH住宅になるのです。
エコ娘 すごいなー!うちは日当たりの良い部屋は1年中暑くて、日当たりが悪い部屋は夏も寒いし、冬なんて暖房ガンガン使ってないととても居られないくらい冷えるから、断熱性の高い家っていうのはすっごく憧れます!常に快適な室温で過ごせたら体の負担も減って良さそうですよね。
エコ次郎 さすが!着眼点が素晴らしいです!家のどこに居ても快適な温度で過ごせると、例えば冬に危険度が上がるヒートショックを回避する事ができます。ヒートショックは温度差が原因で起こるので、極端な温度変化が無いZEH住宅ではその危険度はかなり下がります。それだけではなく、断熱性能の低い家でありがちな窓の結露は、カビやダニを発生させて、それが原因でアレルギーを起こしたりしますが、ZEH住宅でしたらその心配もありません。結露が無いと、窓のお掃除も楽になりますね。
エコ娘 ふ~ん、断熱ってすごく大切な事だったんですね!結露からのカビとか考えたことも無かったな。しかも健康面でメリットがあるし、エネルギー消費も抑えられて掃除まで楽になったら一石三鳥ですね
エコ次郎 そうですね。基本的にはZEH住宅では消費する電力を太陽光などで自給するので、光熱費が抑えられたら浮いた分は売電に回す事ができます。天候によって発電量は左右されるので常に光熱費がゼロになるわけではありませんが、年間を通してゼロにすることを目的としているので、1日1日の発電量に敏感になる必要はありません。そして、エネルギー価格が上昇すればするほど売電も含めてお得になりますのでメリットは大きいです。
あとは蓄電システムを設置した場合、余った電気を貯めておいて、停電や災害が起きた時に使う事ができるのも利点です。エコキュートも設置すれば、いざという時に貯湯タンク内のお湯を生活用水としても使えるので、災害時に電気も水もというのは大きな安心に繋がりますね。
エコ娘 え!?電気も水も!?災害時にインフラが遮断されない家って率直にすごいと思います!!だって、台風で停電したら何にもできないのが当たり前だったのに、ZEHなら電気が使えるからペットボトルのお湯を沸かしてカップ麺が食べられるんでしょ!生活用水があるならちょっとした洗い物とか、濡らしたタオルで体を拭いたりも出来るし、最強過ぎますよ!!無敵過ぎますよ!笑
でも、そんなにすごい家でもやっぱりデメリットも少なからずあるんですよねぇ?
エコ次郎 そうですね。まずZEH住宅にするためには高性能なサッシや断熱材、省エネ型の設備機器などを使うために、建築費用が高くなります。また、太陽光などは定期的なメンテナンス料も掛かります。断熱性を高めるために間取りやデザインにも多少の制限もありまして、例えばリビングは大きな窓にするとか、天井は高く開放感を、とかは作りにくくなる可能性があります。
それと、ZEH住宅推奨に力を入れている今は、国の補助金が色々と用意されていてお得に建てられるのですが、補助金の支給を受けるには一般社団法人 環境共創イニシアチブに登録された「ZEHビルダーによって建築・販売された住宅に限られるので、建築会社を選ぶ際も事前の確認が必要です。
エコ娘 色々と制約があるんですね。でもZEHビルダーで建てれば補助金が受けられるなら魅力的ですよね、近い将来ZEHがスタンダードになるんだから。
エコ次郎 はい、それに補助金がいつまで支給されるかは分からないので、もし新築をこの先数年間でお考えの方は是非ZEHも視野に入れて頂けたらと思います。
きっと勉強家のエコ娘くんの次の質問は「補助金ってどう言うものがあるんですか?」だと思いますので、次の項目で補助金の種類についてご案内したいと思います。
エコ娘 鋭い!(笑) 以心伝心?? 正にそう思っていたので、よろしくお願いします!


【3】ZEHに使える補助金と優遇制度


◎戸建住宅ZEH支援事業(環境省)
戸建住宅ZEH支援事業は環境省が主管となっており、ZEHの種類により補助金が支給されます。
・ZEH*(Nearly ZEH**・ZEH Oriented***)…定額55万円
・ZEH+****(Nearly ZEH+*****)…定額100万円
これ以外に「蓄電システム」「燃料電池(エネファーム等)」「地中熱ヒートポンプ」などの省エネ設備を設置した場合には、20~90万円程度の追加補助金が支給されます。

*年間消費エネルギー量をおおむね100%以上削減できる住宅。
**住宅スペースの問題で太陽光発電装置を十分に設置することが困難なケースを考慮し、創エネの基準がZEHよりも低くなっているモデル。
***安全性や天候の問題などによりZEHの要件を満たすことが困難な地域を考慮し、創エネを必要要件としないモデル。
****創エネを含まない一次エネルギー消費量を25%削減するのに加え、以下の項目を2以上クリアする必要がある。
(1)外皮性能の更なる強化:UA値[W/m2 K]が地域区分ごとに決められた値以下であること。
(2)高度エネルギーマネジメント:HEMS により、太陽光発電設備等の発電量等を把握した上で、住宅内の暖冷房、給湯設備等を制御可能であること。
(3)電気自動車を活用した自家消費の拡大措置:太陽光発電設備により発電した電力を電気自動車等に充電、または電気自動車と住宅間で電力を充放電することを可能とする設備を設置し、車庫等において使用可能としていること。
*****Nearly ZEHの定義を満たし、省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減の更なる省エネルギーを実現し、かつ以下の3要素のうち2要素以上を採用した住宅。
(1)外皮性能の更なる強化。
(2)高度エネルギーマネジメント。
(3)電気自動車を活用した自家消費の拡大措置。


◎次世代ZEH+ 実証事業(経済産業省)
「次世代ZEH+ 実証事業」は経済産業省が主管で、「ZEH+」よりもさらに高性能な「次世代ZEH+」の普及促進を目的としています。この事業の補助金を受けるには、「ZEH+」「Nearly ZEH+」に、以下の(1)~(4)の1つ以上を導入する必要があります。
(1)V2H設備(電気自動車に充電した電気を住宅で利用できるようにするための充電設備)
(2)蓄電システム
(3)燃料電池
(4)太陽熱利用温水システム(10kw以上)
また、「次世代ZEH+ 実証事業」で受けられる補助金もあります。
・次世代ZEH+(次世代Nearly ZEH+)…定額100万円
定額部分はZEH+と同額の100万円ですが、追加導入するV2H充電設備、太陽熱利用温水システムなどに対し、20~75万円の追加補助金が支給されます。


◎フラット35S(ZEH)
住宅金融支援機構の「フラット35」では、2022年10月より、新たに「フラット35S(ZEH)」という制度をスタートします。これを利用すると、通常のフラット35の借入金利から当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%の金利引き下げが受けられます。


◎住宅ローン控除のローン残高(限度額)の引上げ
「住宅ローン控除」でもZEH住宅は有利になります。2022年の改正で、住宅の区分に「ZEH水準省エネ住宅」が加わり、通常の「省エネ基準適合住宅」よりもローン残高の上限額が500万円引き上げられています。
なお、フラット35や住宅ローン控除におけるZEH基準では、創エネ設備の導入は必須となっていないため、Nearly ZEH、ZEH Oriented含め、すべての種類で適用が受けられます。


◎住宅ローン控除のローン残高(限度額)の引上げ
若者夫婦や子育て世帯の住宅購入を支援する目的で2022年にスタートした「こどもみらい住宅支援事業」。ZEH住宅に対する補助金は100万円で、一般的な省エネ性能の住宅よりも有利になっています(Nearly ZEH、ZEH Orientedでも可)。
・ZEH住宅…100万円
・高い省エネ性能(長期優良住宅・低炭素住宅 等)…80万円
・一般的な省エネ性能(H28年基準)…60万円

まとめ
このようにZEH住宅は、補助金のみならず、金利や税制面でも大きく優遇されており、国がいかに力を入れてその普及を推進しているかお分かり頂けるかと思います。今後住まいの買替えや新築をお考えの方は、是非ZEH住宅もご検討下さい。



【4】編集後記 ~エコ次郎の小ネタ横町~

皆さま、こんにちは。エコ次郎でございます。今年こそ楽しく堂々とお花見ができるぞ!と思っていましたが、桜が満開になったと思ったら雨が降ってしまったり、寒くどんよりした曇り空だったりで、なかなか最高の条件は揃わないものだな、と痛感しています。花の命は短いので、短時間でも見られる時に足を運ばないと、と勉強になりました。

さて、今日は今までで一番驚いたエコネタをご紹介したいと思います。先日「亡くなった本人の願いで遺体を堆肥に変える『グリーン葬』で見送った家族(米) 」というタイトルのネットニュースが目に止まりました。記事を読むと、植物などの有機物で遺体を包んで、専用の箱に入れて蓋をすると、体内に残った微生物が活性化して60日で遺体が分解されて堆肥になるのだそうです。ニュースでは、息子さんを亡くした夫人が、息子さんの遺体で作られた堆肥で花を育てていました。

「この堆肥、原料はヒトだよ」と言われたら、それはとても複雑な気持ちになりそうですが、冷静に考えてみると、将来私は樹木葬がいいなと思っていたので、お骨のまま木の下に埋葬するより、堆肥になって直接草木に撒いて貰った方が、大地の役に立てて良さそうな気がしなくもないです。正に“土に帰る”ですね。とは言え、まだアメリカのいくつかの州でしか合法では無いので、今の日本では非現実的ですが、火葬するよりも二酸化炭素排出量が圧倒的に少なく、今後アメリカ全土やヨーロッパにも広がって行きそうという事ですので、いずれ日本にも上陸するかも?もし私が自分の終末について意思表示ができる間に合法になったら、その時は真剣に検討したいです。

ちなみにですが、現時点でグリーン葬の費用は日本円で65万円ほど。1人の遺体でおよそ110kgの堆肥が出来るそうです。花代や火葬代、遺体安置料、骨壷、棺、お坊さんのお布施やお車代、色々含めると家族葬でも結構な金額になりますし、通夜や葬儀や初七日の法要、四十九日等仏教は何かとやることが多く、遺族の肉体的精神的負担も大きいです。日頃から妻には迷惑を掛けっぱなしなので、自分がこの世を去ってからも負担を掛けるのは、私としては出来る限り避けたいところ。となると、お別れ時に箱に詰めて貰って、60日間堆肥になって行くのを待ってもらうのだけの方がこちらの気持ちも軽く済みますし、ちょっと神秘も感じますし、本当に“静かに見送られた”感じがして良いなと思いました。あとは私が原料の堆肥を妻が受け入れてくれるか。そちらの方がハードルが高いかもしれませんが(笑)



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