本日のお題 【ゼッチ(ZEH)ってな~ぁに? 】 |
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エコ次郎先生、こんにちは!
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エコ娘くん、こんにちは。今日も元気いっぱいですね!
エコ娘くんはとても勉強家なので、最近はずっと今知りたい事柄について私が質問を受けていましたが、今日は久々に私から質問をしても良いでしょうか?
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もちろんいいですよ~、何でもどうぞっ!
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ありがとうございます。では早速質問です。エコ娘くんは『ゼッチ』をご存知でしょうか?
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ん?ゼッチ~??サッチー、ミッチー、ゼッチーみたいな?誰かのあだ名ですかね?
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エコ娘くん、あなたは本当に高校生ですか?!サッチー&ミッチーをご存知なんて時代を感じずには居られないのですが...。NHKのオカッパ頭の永遠の5歳児くらい年齢不詳な、幅広い知識をお持ちですね。
それはともかく、ゼッチ(ZEH)はあだ名では無く、『net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)』の略語でして、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味なんです。
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収支をゼロ以下って、そんなこと出来るんですか!? 使うエネルギーより作り出す方が多いっていう事でしょ!?
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はい、その通りです。やはり良く勉強されていますね。正確に言いますと、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家を指します。ただ夏の暑さや冬の寒さを我慢して、エアコンを使わずに過ごすなどの無理をするのではなく、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室内環境を保ちながら省エネルギーを実現する、それがZEH住宅です。
日本の現行の省エネ基準(平成28年基準)における断熱性能は世界的に見てもレベルが低く、現在は遅れを取っています。しかし、菅政権が「2050年カーボンニュートラルの実現」という政策目標を打ち出したことで舵が切られ、法改正により2025年以降は平成28年基準をクリアできない住宅は建築できなくなりました。更に2030年からはZEH基準がスタンダートになるように政府が強力に推進していますので、ZEHが当たり前になる日もそう遠くないと思われます。
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そうなんだー!おばあちゃん家とか昔の家ってバリアも多いし寒いし、今時の家と比べると色々劣ってるなーとは思っていたけど、どんなレベルの家を建てて良いか?ってちゃんと国で決められているから、おばあちゃん家みたいな寒い家はもう新築されてなかったんですね。なるほど~ぉ!
エコ次郎先生、家のレベルが時代とともに上がっている事は分かったんですけど、これからスタンダードになる ZEH基準 ってどんな内容なんですか?
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はい、ご説明しましょう。まず、住宅の断熱性を表す断熱等級が決められていて、現行のH28年基準は断熱等級4になります。ZEH基準は等級5なので、数字が大きいほど性能が上がることはお分かりですね。
断熱等級の基準には外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)がありまして、地域により数値が決められているのですが、例えば東京都の場合、等級4の時のUA値は0.87、等級5では0.6と決められています。おっと、エコ娘くんの眉間にシワが寄って来ていますが、この辺りについては難しいので1回で理解しなくて大丈夫ですよ(^ ^)
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あ、すみません。。気付いたら眉間にめっちゃ力が入っちゃってました。リラックス、リラックス...。先生、気にせずに続きをお願いします。
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はい、では続けますね。ここで覚えて頂きたいのはUA値の細かい数値ではなくて、ZEHを実現するために必要な断熱・省エネ・創エネです。
断熱性の高い建物は、夏は冷やした室内の空気が、冬は暖めた室内の空気が外に漏れにくく、冷暖房にかかるエネルギーを小さく抑える事ができます。給湯器や照明・家電などの設備機器を省エネタイプに替えることで、更にエネルギーを抑える事ができます。そして、太陽光発電や地熱発電などを用いる事で、エネルギーを作り出す事ができます。この3つを組み合わせる事で、年間の消費エネルギーが作り出すエネルギーを下回り、ZEH住宅になるのです。
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すごいなー!うちは日当たりの良い部屋は1年中暑くて、日当たりが悪い部屋は夏も寒いし、冬なんて暖房ガンガン使ってないととても居られないくらい冷えるから、断熱性の高い家っていうのはすっごく憧れます!常に快適な室温で過ごせたら体の負担も減って良さそうですよね。
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さすが!着眼点が素晴らしいです!家のどこに居ても快適な温度で過ごせると、例えば冬に危険度が上がるヒートショックを回避する事ができます。ヒートショックは温度差が原因で起こるので、極端な温度変化が無いZEH住宅ではその危険度はかなり下がります。それだけではなく、断熱性能の低い家でありがちな窓の結露は、カビやダニを発生させて、それが原因でアレルギーを起こしたりしますが、ZEH住宅でしたらその心配もありません。結露が無いと、窓のお掃除も楽になりますね。
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ふ~ん、断熱ってすごく大切な事だったんですね!結露からのカビとか考えたことも無かったな。しかも健康面でメリットがあるし、エネルギー消費も抑えられて掃除まで楽になったら一石三鳥ですね!
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そうですね。基本的にはZEH住宅では消費する電力を太陽光などで自給するので、光熱費が抑えられたら浮いた分は売電に回す事ができます。天候によって発電量は左右されるので常に光熱費がゼロになるわけではありませんが、年間を通してゼロにすることを目的としているので、1日1日の発電量に敏感になる必要はありません。そして、エネルギー価格が上昇すればするほど売電も含めてお得になりますのでメリットは大きいです。
あとは蓄電システムを設置した場合、余った電気を貯めておいて、停電や災害が起きた時に使う事ができるのも利点です。エコキュートも設置すれば、いざという時に貯湯タンク内のお湯を生活用水としても使えるので、災害時に電気も水もというのは大きな安心に繋がりますね。
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え!?電気も水も!?災害時にインフラが遮断されない家って率直にすごいと思います!!だって、台風で停電したら何にもできないのが当たり前だったのに、ZEHなら電気が使えるからペットボトルのお湯を沸かしてカップ麺が食べられるんでしょ!生活用水があるならちょっとした洗い物とか、濡らしたタオルで体を拭いたりも出来るし、最強過ぎますよ!!無敵過ぎますよ!笑
でも、そんなにすごい家でもやっぱりデメリットも少なからずあるんですよねぇ?
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そうですね。まずZEH住宅にするためには高性能なサッシや断熱材、省エネ型の設備機器などを使うために、建築費用が高くなります。また、太陽光などは定期的なメンテナンス料も掛かります。断熱性を高めるために間取りやデザインにも多少の制限もありまして、例えばリビングは大きな窓にするとか、天井は高く開放感を、とかは作りにくくなる可能性があります。
それと、ZEH住宅推奨に力を入れている今は、国の補助金が色々と用意されていてお得に建てられるのですが、補助金の支給を受けるには一般社団法人 環境共創イニシアチブに登録された「ZEHビルダー」によって建築・販売された住宅に限られるので、建築会社を選ぶ際も事前の確認が必要です。
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色々と制約があるんですね。でもZEHビルダーで建てれば補助金が受けられるなら魅力的ですよね、近い将来ZEHがスタンダードになるんだから。
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はい、それに補助金がいつまで支給されるかは分からないので、もし新築をこの先数年間でお考えの方は是非ZEHも視野に入れて頂けたらと思います。
きっと勉強家のエコ娘くんの次の質問は「補助金ってどう言うものがあるんですか?」だと思いますので、次の項目で補助金の種類についてご案内したいと思います。
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鋭い!(笑) 以心伝心??
正にそう思っていたので、よろしくお願いします!
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