東雲研修センター ニュースレター No.39
いつも東雲研修センター及び公式HPをご利用頂きましてありがとうございます。

みなさんは日本の食料自給率をご存知でしょうか?良く「日本は食料自給率が40%以下で、非常に低い」「ほとんどの食料を輸入に頼っている」という報道がされていますが、実際は食料自給率の算出方法は何通りかあり、その中でも特に低い数値が出る『カロリーベース』での結果が扱われています。ですが、この『カロリーベース』は世界基準ではなく、世界でこの方法を用いている国は実はごく僅かです。では世界で主流の算出方法では日本の食料自給率はどれくらいなのでしょうか?

今回は、日本の食料自給率の実態を多方面から見て、自給率を上げる為に国はどんな施策を講じているのかを学び、個人でも取り組めることを一緒に考えて行きたいと思います。

橋本総業株式会社
東雲研修センター事務局


INDEX
【1】研修情報‥‥東雲研修センター 定期研修情報
【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座‥‥【日本の食料自給率の実態】
【3】食料自給率を上げるための政策の紹介
【4】編集後記‥‥エコ次郎の小ネタ横町
 
【1】東雲研修センター 定期研修情報
◎東雲研修センターは感染予防対策徹底中!!
東雲での研修は、実習を伴うことから濃厚接触の可能性があります。
感染防止には万全の体制で臨んでおります。詳しくはHPをご覧下さい。

東雲研修センターの定期研修は、直接のお客様だけでなく、メーカー様や関係団体、橋本総業(株)と多少でも関係のある方々でしたらどなたでも受講できます。
現在東雲研修センターで募集している研修のご案内です。特徴は、座学だけでなく研修によって現調、試運転、設置、組立などの実習が含まれていて、ホームページから申し込みが出来ます。是非ご検討下さい。

(エアコン施工研修の様子)


【現在空きのある受講生募集中の研修一覧 (2023年2月まで) 】
9月8日(木)パッケージエアコン施工研修10:00-18:0015,000円8名
10月11日(火)システムバス現調研修10:00-15:006,000円15名
11月11日(金)ガス給湯器現調研修10:00-15:006,000円15名
11月17日(木)ガス給湯器・ハイブリッド給湯器現調研修10:00-15:006,000円15名
11月22日(火)便器・WL設置研修10:00-15:008,000円15名
12月2日(金)エアコン施工研修10:00-17:0012,000円10名
12月6日(火)配管接続研修10:00-14:006,000円15名
12月8日(木)パッケージエアコン施工研修10:00-17:0015,000円8名
1月12日(木)エアコン施工研修10:00-17:0012,000円10名
1月17日(火)システムバス現調研修10:00-15:006,000円15名
2月7日(火)キッチン現調・施工研修10:00-16:006,000円15名
2月21日(火)便器・WL設置研修10:00-15:008,000円15名

* 今年度より一部の受講料が部材価格の影響から改定させていただきます。ご了承願います。

お申し込みは こちらから

◎東雲で開講の研修は昼食をご用意しています。
◎受講料は税込です


【2】エコ次郎先生とエコ娘のなるほど講座
本日のお題 【日本の食料自給率の実態】
エコ娘 エコ次郎先生、最近食料品の値段が上がっていて、ママが「エンゲル係数が右肩上がりで困る~!!」ってヒーヒー言ってるんですけど、そんなに値上がりしているんですか?
エコ次郎 はい、その通りです。家計をやりくりする立場の方は相当頭を抱えていると思われます。日本は食料自給率が高くはない為に輸入食品が値上がりするとモロに食卓に影響が出ますので、岸田政権は食料自給率を上げる施策を打ち出していますね。
エコ娘 先生、その『食料自給率』って言うのは、自国でどれだけ食料が賄えているか?を数値で表したものっていうことですか?
エコ次郎 さすがエコ娘くん、何でもご存知ですね!おっしゃる通りで、もう少し分かりやすく言うと“我が国の食料供給に対する国内生産の割合を示す指標”でして、食料自給率には単純に重量で計算することができる『品目別自給率』と、食料全体について共通の「ものさし」で単位を揃えることにより計算する『総合食料自給率の2種類があります。更に総合食料自給率には、熱量で換算する『カロリーベース』と、金額で換算する『生産額ベースがあります。一般的に食料自給率や自給率と言うと『総合食料自給率』を指していて、『カロリーベース』と『生産額ベース』で比較されますが、『カロリーベース』は日本や韓国・台湾などのごく一部でしか採用されていない指標ですので、国際標準は『生産額ベース』だと言うことも覚えておいて下さいね。
エコ娘 へーぇ、知らないことだらけだ!
先生、では生産額ベースでお聞きしますが、日本の食料自給率ってどれくらいなんですか?
エコ次郎 まず、令和3年度は前年度より4ポイント低い63%でした。昭和40年代前半は85%~91%と高い水準でしたが、それ以降緩やかな右肩下がりで、昨年の63%は過去最低を記録しています。とは言うものの、諸外国と比べても低い水準ではありますが、桁外れに低いと言う訳ではありません。例えばドイツは62%・イギリスも64%と日本とほぼ同水準ですし、スイスに至っては50%と日本を下回っています。(*諸外国のデータは令和元年)
ちなみにカロリーベースで比較すると日本は38%まで落ち込み、諸外国の中でも極めて低水準に陥ってしまっています。
エコ娘 そうなんだぁ。『生産額ベース』と『カロリーベース』だと随分結果に乖離があるんですね。でも、そんなに違いがあったらどっちの数字を気にすれば良いのか分からなくなると思うんですけど、どっちかじゃダメなんですか?
エコ次郎 そう思いますよね。実際にカロリーベースを採用している国は少ないので絶対ではないですが、カロリーベースは食料安全保障の観点から、生産額ベースは経済活動を評価する観点から計算されたもので、どちらにも知っておくべき情報は詰まっています。
例えばカロリーベースですと、単位重量当たりのカロリーが高い米・小麦や油脂類の影響が大きく、生産額ベースでは単価の高い畜産物や野菜・魚介類の影響が大きくなります。つまり、小麦や大豆と言った穀物類や、カロリーが高い油脂類や畜産物を輸入することで食料(カロリー)の62%を賄っていて、総じて輸入品より国産品の方が付加価値が高く、高品質な農産物を生み出している為に生産額ベースでは63%を記録している、という事が読み取れます。
エコ娘 なるほど。どんな結果にも必ず重要な情報が隠れているんですね。
エコ次郎 そういう事になりますね。ではそれらを踏まえて、次に『品目別自給率(重量ベース)』を見てみましょう。
先ずは米、野菜、魚介類。古くから日本の主食である米は97%、野菜79%、魚介類52%と高くなっています。これは生産基盤や生産技術が代々受け継がれていることや、生鮮野菜は長期保存ができず輸入が難しいこと、魚介類は国内で新鮮なまま流通できるといった理由が考えられます
続いて牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳・乳製品などの畜産品の自給率です。牛肉35%(9%)、豚肉49%(6%)、鶏肉64%(8%)、鶏卵96%(12%)、牛乳・乳製品59%(25%)となっていて一見そこまでは低くはないように見受けられますが、注意したいのがカッコの中の数字です。家畜が毎日食べている飼料に目を向けてみましょう。飼料自給率も発表されていて、令和元年で25%でした。草などの粗飼料は自給率が77%なのですが、飼料向けの穀類は国内で生産が困難なため、トウモロコシなどの濃厚飼料は自給率が12%しかありません。結果として粗飼料と濃厚飼料を合わせた飼料自給率は25%で、この飼料の自給率を考慮して、純粋に国産飼料のみで育った家畜がカッコ内のパーセンテージなのです。食肉類はすべて1桁とは、かなり低い水準で驚きますよね。
エコ娘 うわ~、家畜の餌は盲点だったなー!食肉類の自給率が1桁って、さすがに心配になります。これからもずっとお肉食べて行かれるかな...。
先生、私はパンとか焼き菓子とかの小麦粉を使ったものも大好きだし、きな粉とか煮豆とか納豆とかの大豆製品も良く食べるんですけど、人間用の穀物も国産だけじゃ全然足りないんですか?
エコ次郎 そうですね。小麦や大豆、飼料用の穀物は、日本の限られた農地では大量に生産するのが難しいのです。その為、広大な農地を有し、気候が生産に適したアメリカ、オーストラリア、カナダ、中国などで大規模に生産されたものの輸入に頼っているのです。小麦は自給率16%、大豆は6%ととても低いです。ウクライナは小麦の輸出量が世界第5位、ロシアは世界第1位。日本の小麦の輸入先はアメリカ(49.8%)、カナダ(33.4%)、オーストラリア(16.8%)なので、ウクライナ産の小麦が出荷されなくても、ロシアが経済制裁で小麦の貿易を禁止されようが影響は無いように思いますが、実はそうではないのです。これまでこの2カ国から小麦を輸入していた北アフリカや南アジアの国々は他の小麦の生産国に頼らざるを得なくなるので、小麦の争奪戦となって値が上がり、日本でも値上がりは避けられません。
このような事が他の食料でも起こっている為、エコ娘くんのお母様がおっしゃる「エンゲル係数が右肩上がりで困る~!!」に繋がるのです。
エコ娘 なーーるほど!やっと理解ができました!そう繋がる訳か、う~ん納得です。
エコ次郎 「食料を自給できない人たちは奴隷である」「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」と言った著名人も居るほど、食料自給率が低いことは国の深刻な問題なのです。日本はこれ以上食料自給率を下げない為に対策をとる事が急務で、現在はまだ僅かではありますが少しずつ動き出している施策もありますので、次の項目ではそれについてご紹介したいと思います。
エコ娘 もう動き出してるんだ!それは是非知りたいです。先生、今回も分かりやすく説明お願いします♪
エコ次郎 はい、お任せ下さい!


【3】食料自給率を上げるための政策の紹介

ー 国家戦略特区 ー

“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う『国家戦略特区』という規制改革制度をご存知でしょうか?規制改革メニューには観光、教育、農業など計11分野・92事業がありますが、その中でも兵庫県養父市は、人口の減少と高齢化の進展・農業の担い手不足と耕作放棄地の増加といった問題を解決するための環境を整え、地方創生に繋げたいと考えています。
日本の農地法では農業関係者が議決権の半分以上を持つ企業でないと農地取得ができませんが、国家戦略特区で2016年から養父市で一般企業の農地取得(※一定の要件を満たした場合取得可能)を認めたところ、耕作放棄地の有効活用などに成果が出ました。農地を取得した企業は自らが担い手となって、長期的且つ安定的に地域に根付いた営農が可能になるので、耕地面積は広がり、その結果農産物の収穫量が増え、つまり自給率が上がるのです。
まだ国家戦略特区は実験段階ですが、今後全国各地で実施することで必ず食料自給率を上げる事ができますので、早く実施拡大になることを期待しています。

<養父市国家戦略特区パンフレット>
https://www.city.yabu.hyogo.jp/material/files/group/5/yabu-tokku-pamphlet.pdf



ー 食料自給率向上のための5つのアクション ー

ニッポン フード シフト(民間企業・団体・行政等が一体となって国産農林水産物の消費拡大を推進する取組。令和3年、前身の「フード・アクション・ニッポン」から移行)では、食料自給率の向上に向けて国民の皆さんが「出来ることから取り組む」5つのアクションを提唱しています。

〈1〉「今が旬」の食べ物を選びましょう
〈2〉地元で採れる食材を日々の食事に活かしましょう
〈3〉ごはんを中心に、野菜をたっぷり使ったバランスの良い食事を心がけ、しっかり朝ごはんを食べましょう
〈4〉食べ残しを減らしましょう
〈5〉自給率向上を図る様々な取り組みを知り、試し、応援しましょう

日本での自給率が高い米や野菜中心の食生活を心がけることで食料自給率が向上します。例えば朝食に食べているパンをごはんに変えたり、国産米粉のパンに変える。国産大豆や国産小麦を使った食品を食べる。新鮮な地場産の野菜やくだものを食べる。そして残さず食べることで自給率の分母(1人1日当たりの消費カロリー)が減り、その分自給率が上がります。少しずつみんなで心がけて行きましょう。


ー やってみよう!自給率計算 ー

農林水産省では、料理の自給率を簡単に計算できるソフトを作成し、「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」公式ウェブサイトに掲載しています。
料理に使用されている食材の種類と量を入力すれば、カロリーベースの食料自給率、生産額ベースの食料自給率などが分かります。また、同時にPFCバランス(各三大栄養素由来のエネルギー量が、食品および食事全体のエネルギー量の何%にあたるか)も算出してくれるので、理想の栄養バランスにどれだけ近付けているかも知ることができる、便利なソフトです。日々の食事の目安、食育にもぜひご活用下さい。

<やってみよう!自給率計算>
https://nippon-food-shift.maff.go.jp/calc/#/



【4】編集後記 ~エコ次郎の小ネタ横町~
皆さま、こんにちは。エコ次郎でございます。

メルマガの執筆をしながら、煮詰まった時用の煎餅を摘まみ摘まみ。結構な量のおやつを口にしています。最近はどんなエコ活動をしただろうか?と、考えても考えても思いつかないので、煎餅の消費量は上がるばかりです。ですが、ふと煎餅の袋に目をやった時、「久助」の文字を見て、今まで気付かなかったけれどこれは実は昔ながらの『フードロス削減』ではないか!とハッとしました。

昔は今ほど煎餅は種類が豊富ではなかったので、煎餅といえば堅焼きでしたし、どうせ割って食べるのですからわざわざ丸いものを選ぶ習慣は無く、当たり前に久助を買っていました。今のようにフードロスに敏感ではない世の中で、何でも形の揃ったものが選ばれていた中、ある種の“不良品”である久助が、良くぞ普通の商品と同じ扱いで売り場に並べられていたと感心しています。これはやはり、日本人のソウルフードと言っても過言ではない煎餅だったからではないでしょうか?

そういえば世界共通語の『Mottainai(もったいない)』は日本語で、他の国に『もったいない』という意味に当たる言葉は無いそうですね。つまり日本のもったいない精神は世界のリーダー的存在です。ところが、割れてしまった茶碗とか、まだ着られる洋服とかモノにはもったいないと言いますが、何故か食品に関しては日本人の目は厳しく、スーパーに並ぶ食品は厳しい選別で合格したものしか並びません。その中でも更に消費者は良く見て形の良いもの、色味の良いものを選びます。フードロスが多いのも頷けます。昨今ようやく食品にももったいない精神が浸透してきましたが、まだまだ廃棄量は多いですので、どんな食材も好き嫌いをせず、残さず大切に頂くことを心がけて、食生活を送っていこうと思います。


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