本日のお題 【パワハラ防止法】 |
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エコ次郎先生、聞いて下さい!親戚のお姉ちゃんが働いている会社で上司が代わった途端に、みんながその上司からパワハラを受けるようになって、去年の10月から先月までの8ヶ月でそれが原因で9人も辞めちゃったんだって!その上司の前任者は、その人にネチネチいじめられて鬱病になっちゃって休職に追い込まれたらしくて。私はまだ高校生だから会社のこととか全然分からないけど、でもそんな酷いことってあります?!知らない人だけど懲らしめてやりたいです!!
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ご親戚の方は、日々そのような劣悪な職場環境で耐えておられるのですね。胸が痛みます。ですが!そんな上司の方にも心を入れ替えて頂かなくてはならない方向に世の中が進んでいて、通称「パワハラ防止法」という法律が今年の4月から全ての企業に施行されたので、被害を受けた側が泣き寝入りをして終わるだけという時代は終わりました。どういう事かと言いますと、法改正に伴って厚生労働省がパワーハラスメント防止指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)を公表したことによって、今まで曖昧だったパワハラに対する認識を共通認識に変えて「こういうことをするとパワハラだよ。パワハラはだめなんだよ」と法律が示してくれたのです。そして企業にはパワハラ防止のために、社内のルールや相談体制の整備など雇用管理上必要な措置を講じることを義務づけたので、企業側もパワハラを見て見ぬ振りができなくなったのです。
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そこまでしてもやっぱりパワハラってゼロにはならないんだろうな。けど、辞めるか耐えるしか選択肢がなかった人も多かったと思うけど、社内に相談できるところがあったら助けて貰える可能性も高くなるし、何よりいざという時に独りで抱え込まなくて良いっていう風に思って仕事ができるなら安心ですよね。
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そうですね。日頃の安心感は仕事のパフォーマンス向上に繋がり、業務効率も保たれますので、労働者と企業がWin-Winの関係で居られます。それに、企業が「ハラスメントは許さない」という姿勢を示して、万一ハラスメントが発生した場合も可能な限り迅速かつ正確に事実関係を調査し、真相を突き止める事を周知しているならば、労働者も「自分たちを守ってくれる会社の為に頑張って働こう」と思えますよね。もちろんパワハラは起きる前に食い止められるのが一番なので、日々健全な職場環境を保つ努力が何より重要であることに違いはありません。
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なるほどね!将来私が就職する時はそういうところもしっかり見て、面接を受ける会社を決めたいな。
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今のところパワハラ防止法に違反した場合の罰則はありませんが、厚生労働大臣が必要と判断する場合は、企業に対して助言や指導、勧告するとされていますし、もし従わない場合は内容や企業名が公表されますので、そういった事で耳にしたことのある企業は避けることができますよ。就職活動の時には是非思い出して下さいね。
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は~い、覚えておきます!
ところでエコ次郎先生、パワハラって具体的にどういう時に認めて貰えるんですか?良く「受け手が不快に思ったらパワハラだ!」とか聞くけれど、それってかなり曖昧じゃないですか。嫌いな上司に普通に注意されただけでも不快だからって「パワハラされた!」って主張する人も居そうだし、下手するとパワハラを利用した“逆パワハラ”も十分起こりうる感じがしますよね。そうならない為にも、やっぱりパワハラの定義は結構細かく決められているんですか?
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エコ娘くんは今回も鋭い質問をしてくれますね!もう社会人の仲間入りをしてもおかしくないくらいしっかりした洞察力があって感心してしまいます。
職場のパワーハラスメントの定義は、職場において行われる
〈1〉優越的な関係を背景とした言動であって、
〈2〉業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
〈3〉労働者の就業環境が害されるものであり、
〈1〉から〈3〉までの3つの要素を全て満たすものを言います。
つまり、これはあくまでも例えですが、
〈1〉職務上の地位が上位の者(即ち上司)が
〈2〉業務上明らかに必要性のない言動で
〈3〉部下に精神的に苦痛を与え、部下にとって就業環境が不快なものとなったために能力が発揮できなくなってしまった
場合などです。逆に、知識の豊富な部下が上司に向かって「こんなことも知らないで良く上司で居られますね」などの侮辱発言は“逆パワハラ”になりますので、立場に関係なく自身の言動には注意をしましょう。尚、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しませんので、「受け手が不快に思ったらパワハラ」という事は決してありません。
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良かった、そうですよね!人を陥れる人ってどこにでも居るから心配しちゃったけど、それを聞いて安心しました(^^)
でも、逆パワハラって子どもの世界でも結構あるし、学校で鈍臭い先生のことを「良くあの人教員採用試験に受かったよね」とか陰口言ったりしてるのも聞くから、私も自分が気付かないうちに傷つけることを言っちゃったりしないように気をつけなくちゃ。
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それはとても良い心掛けですね。パワーハラスメントは、案外やってしまっている本人にはそんなつもりは無いことも多く、誰もが被害者にも行為者にもなる可能性があるのです。この法律の施行をきっかけに全員がパワーハラスメントについて関心を持ち、今一度自身を見つめ直し、ハラスメントの無い社会を目指して行けたらきっと今より遥かに生きやすく、活気に満ちた社会になって行くでしょう。
パワハラ防止法の概要についてはお分り頂けたかと思いますが、パワーハラスメントの類型についてもう少し知って頂きたいので、次の項目で補足をしますね。
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はい、今回も“分かり易く”を意識してお願いしまーす!
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